vol.027 ドンの反乱

現在わが家では、ドン(柴犬)と、チョコ(ミニチュア・ダックス)の2頭の犬を飼っています。

ドンは昔からいる9歳の中型犬。屋外犬として、庭やテラスでつつがない毎日を過ごしていました。

ところが4年前、新参ものが仲間入り。
新しい家族となったチョコは小型犬ということもあり、室内犬として飼い始めました。
寒いときでもぬくぬくと室内で過ごすチョコと比べると、風が吹き込む犬小屋02701で寝ているドンは多少かわいそうに思えましたが、図体も大きく、毛も抜けやすいドンを今さら室内に入れるわけにもいきません。
そんなわけで、ドンとチョコの差別を解消することもなく、そのまま過ごしてきてしまいました。

この人間サマの都合が、あの事件をおこしました。

2年前、夏も過ぎようとしていたあの日…。

ドンさんは、家のガラス戸のすき間を鼻先でこじ開け、テラスから突然室内に乱入。アッという間に、部屋の中央にデーンと「うんこ」。そして、はじっこにしゃーしゃーと「しっこ」をかけまくりました。
「コラっ!」と外に連れ出しましたが、ドンは、怒られることを承知している“確信犯”のふてぶてしさ。そのときは、本当に憎たらしい犬だと思ったものでした。

ドンの反乱は、その後も何度か続きました。
カミさんと二人、なぜだろうと考えました。
「9歳にして痴呆が始まったのかしら…」
そんなことを話し合っているうちに、ふとドンさんの“あの時の目”を思い出しました。
あの時の目。
それは、ドンがガラス越しに家の中を覗いていたときの目です。
家族の笑い声が溢れる家のなかで、カミさんに頭を撫でられ、子供たちの膝に抱かれているチョコの姿を、ドンはずっと庭のテラスから見続けていました。
人と仲良くできるのはチョコだけ。
一緒にキャンプに連れていってもらえるのはチョコだけ。
池田家のファミリーとして認められるのはチョコだけ。

俺も連れてってくれ!
クルマにも載せてくれ!
家の中で一緒に遊んでくれ!
ドンは、言葉に表現できない自分の気持ちを“目”に託することで、必死にそう訴えていたのです。
彼のやりきれない心を表現した“あの目”を思い出したとき、
「区別をやめよう!」
そう家族で決めました。

その日から2年あまり。
ドンは今では毎日、家族の団らんのリビングに寝そべり、キャンプに出かける時には必ず助手席に鎮座しています。夜、焚火を囲むときも、彼はけむたそうな目をしながら、それでも満足げに私のそばに座っています。
夜がふけると、彼は私の寝床のすぐそばのゲージの中で、ぐーぐーいびきをかき、ときどき「クォーンクォーン」と寝言を言ったりして安眠をむさぼっています。私は、その騒音に耐えながら寝ることにすっかり慣れました。

ドンが入るようになった家を、「臭くなった」と文句を言ってた息子も、今では学校から帰ると、「ただいま、ドン」と真っ先に声をかけるようになりました。
毛が抜けて掃除が大変とくさっていたカミさんも、それ以来まめにシャンプーしてブラッシングをしているようです。

ドンとの新しいコミュニケーションを深めるようになってから、彼の顔つきが変わりました。
剣を含んだきつね顔から、穏やかなたぬき顔に。
心の変化がはっきりと表情に現れるようになりました。
人間が愛情を注げば、犬は人間サマ以上に豊かな感性を発揮するようです。

これからまたオートキャンプのシーズン。
さぁ、行くぞ! 秋のオートキャンプに。
助手席はいつもあけてますから、その時はドンさま、またよろしく!!

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