vol.025 元気はどこからやってくる?

もう12月。月日の経つのは「光陰なんとか…」で早いもの。

私事で恐縮ですが、私はここ1~2年、自分の住んでいる町のキャンプ場「いこいの広場」のリニューアルに関与させてもらい、仕事の終わった後の時間を割いて再建に取り組んできました。

全国に3,500ヵ所あるというオートキャンプ場は、今どこでも同じかもしれませんが、年々減少していく入場者をくい止める方法をなかなか見つけることができません。「いこいの広場」も同様で、シーズンが終われば閑古鳥が鳴く淋しい林と化していました。02501

もっとも私はそれを良いことに、オフシーズンの“貸し切り状態”を楽しんでいました。愛犬を自由に走らせ、誰に気づかうことなくお気に入りのミュージックを流し、ロッキンチェアに揺られて、読みかけの本に目を通す。まさに、人に気づかうことのない自分だけの自由を満喫しておりました。

しかし、何かおかしい。
朝「おはようございます」と挨拶し、「どこから来られましたか?」と会話を交わす、そういうコミュニケーションのない世界なんておかしい。そう感じてきたのです。

人は、人の関わりの中から元気をもらうもの。そして、キャンプ場も多くの人の関わりによって元気になっていくもの。

いつしかそう思うようになった私は、このキャンプ場を「人に会えるキャンプ場」に変えられないだろうかと考え始めました。

私は、キャンプ場を運営している町役場にいろいろな提案を持ちかけました。当初はまったく話にも乗ってもらえない状態でした。

話の次元が違うのです。私は組織に属したこともない気楽なフツー人。相手の人たちは、見事なまでの縦割り社会に生きているお役人。会話のルールも異なれば、ボキャブラリーも違うのです。異星人を相手にしている感覚でした(おそらく相手もそうだったのでしょう)。特に担当の課長さんに対しては、私の希望するキャンプ場がどんなものか、それを説明する言葉すら浮かばない状態でした。

しかし、人間というのは面白いものです。言葉の通じない異国人同士でも、何度も顔を合わせているうちに意志が通じてくるのと同じことで、その課長さんが私の提案を「面白い!」と感じてくれたのです。

以降私たちは現場の人々の協力を得ながら、公営キャンプ場としては全国で初めてのドッグランコートを開発し、五右衛門風呂を設置し、様々なイベントを計画するようになりました。

そして、昨年12月にリニューアルオープンしてから約1年。私たちが企画したキャンプ場は、12年ぶりの入場者増を実現し、多くの地元メディアも取材に来るような元気なキャンプ場に生まれ変わりました。

この1年、私も担当の課長さんも、ともにオクサンから「キャンプ場づくりなんて何が面白いの?」と不思議がられたものです。

私も彼も、そう問われてもうまく答えることができませんでした。なにがなんだか分からないまま、とにかく夢中になっていたのです。

今は、その面白さの理由がはっきりと分かりました。私たちが求めていたのは、「人との出会い」「他者との対話」だったのです。

私たちが追いかけてきたものは、キャンプ場の施設の再建や、イベントの開催ではありませんでした。それに関わる人間のリニューアルだったのです。他者との関わりの中から新しい自分を発見する。そういう作業がとても面白く感じられたから、私たちは夢中になれたのです。

私は、当初私とまったく住んでいる世界の違う地方自治体(=官)の人たちと討議にあけくれ、ある時はくやし涙を流したこともありました。しかし、それがあったからこそ、意見の一致をみたときの喜びもまた格別の思いで噛みしめることができました。もし、最初から話が通じ合うような仲だったら、逆にこれほど楽しいとは思えなかったようにも感じます。

「以心伝心」「あうんの呼吸」という言葉がありますが、私たち日本人は、何も語らないうちに心が通い合うことを理想的なコミュニケーションと考えがちです。しかし、それは本当のコミュニケーションでしょうか。

お互いに異次元の世界に身を置き、違和感からスタートし、そして他者の不思議さに思いを馳せる。

「この人はなぜこんなことを言い出すのだろう?」

相手に対するそういう思いが、違和感から尊敬に変わるとき、初めてコミュニケーションが生まれるように思います。

今私たちは、毎日ワイワイガヤガヤ楽しくやっています。私も課長さんも、現場の人たちも、キャンプ場再建に関わった人すべてがリニューアルしました。

「なにが楽しいの?」

答はやはり「出会いの中での自分さがし」でした。

皆さんの住んでいられる近くに、オフシーズン眠っているキャンプ場がありませんか。

夏休みはにぎやかでも、秋になればめっきり人が減り、そして冬はばったり…なんていうキャンプ場はありませんか? もしよかったら、そこで何かを提案してみませんか。あなたが本当にオートキャンプが好きなら、そして「あなたの行きたいオートキャンプ場」のイメージがしっかり思い浮かべられるのなら、冬でも行ってみたくなるキャンプ場を創ってみませんか。

きっと解ってくれる人が現れます。少したいへんだけど、ハッピーな人との出会いが必ず待っているはずです。「あなたのキャンプ場」が。

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